
Actions for the future
未来を紡ぐ、グリーンビルディング
Pasandとインドのビジネスパートナーは、20年以上活動を共にしています。信頼関係を積み重ね、インドの多様なものづくりの価値を、より多くの人へ伝えることを目指してきました。パートナーが注力するスタッフの環境整備やサスティナビリティへの配慮に続く、次なるチャレンジ。建設中の「グリーンビルディング」とは?
インドの生産パートナーであるAmitさんは、このマガジンでもたびたびご紹介してきました。彼の運営する会社が生産を一手に引き受け、自身の縫製工場はもちろん、生産管理も行なっています。
Pasandディレクター・Mamiがインドで服づくりを始めてからすぐに出会い、20年来のビジネスパートナー。Amitさんはその頃、ロンドンのカレッジを経てインドに戻り、21歳で会社を立ち上げて3人で小さな縫製工場を始めたばかりでした。その頃は、「クリエイティブでアーティスティックなものをつくる」ということに情熱を傾けていた青年は、「いくら良いものをつくっても、伝わらなければ意味がない」というMamiと出会い、次第に「良いものこそ、しっかりと多くの人に伝えたい」と、ビジネスとクリエイティブの両輪を目指すように変化したと言います。
Amitさんは、縫製工場を営む傍ら、自身のブランドITOHを主宰しています。「私の情熱を込める小さなブランド」というITOHは、主に手織りなど、インドの手仕事による小さな生産量から生まれるテキスタイルで構成しながら、デザインをモダンに昇華させたソーシャルフリーなスタイルを目指しています。どこで着てもクールにクリーンでいられる服。
「ハイブランドをつくりたいのではなくて、美しい手仕事を、高価すぎない価格で、若い人たちにも手に取ってもらいたいと思っている。彼らに、これはいい、他とは違う、そう思ってもらえなければ、インドの手仕事は途絶えてしまう。小さなブランドとはいえ、そこを大事にしています」
Amitさんは、自分のブランドを「language」と言います。手仕事や絶やしたくない価値の美しさを伝える手段としてのブランド。次世代に向けて、未来に向けて、残すべき美意識が残るように。
一方のne Quittez pasは、手仕事に限らず、インドという広いものづくりの懐の中で、必要な手仕事を取り入れ、必要なマシンワークを使います。理由は、良いものを伝える以上に、広く多くの人が手に取る場所に行くため。そこから、いいものや価値を共有していくことで、量を確保して技術を守る、という可能性も生まれます。
2人は良き理解者の間柄ですが、それぞれの美意識や立場はもちろん同じではありません。それでも未来を見つめた時、共に進むための、次の目標が生まれました。「グリーンビルディング」の工場建設です。
Amitさんの会社は、デリーで始まり、昨年から郊外のグルガオンに工場を新設しました。グルガオンエリアは今、世界中のトップ企業が揃う発展著しい新都心でもあり、工業地域の広がるエリアでもあります。さらに次は、働き手の環境に加え、社会へも一歩、踏み出します。
「グリーンビルディング」とは、ビルの構造として環境に責任を持ち、資源効率の高い仕組みや建築プロセスを備えた建築物のこと。若い建築家と手を組んで、風の通り抜ける仕組みを含め、快適で建物の負担や電力消費も考慮された工場をつくる予定です。働き手の環境を改善し続けるというAmitさん、そしてそれをサポートするMamiの取り組み。まずは彼らの生活を安定させることを目指し、次に、過ごす場の環境を整える。そうして未来を見つめながら、社会にコミットしていきます。
考えるだけではなく、動く、前に進む。その力強さを、Pasandは、パートナーと手を取り合い、これからも発していきます。
Photograph: Akemi Kurosaka
Text: Yuko Mori
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