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カートが空です


金沢、街歩きのヒント

金沢、街歩きのヒント

加賀百万石の城下町として栄えた、石川県金沢市。400年以上大きな戦災を免れてきたこの街は、江戸時代の地図を頼りに歩けるほど、昔ながらの面影を今に残しています。まちなかに点在する町家や洋館、金沢城を中心に広がる美しい緑、街を静かに流れる用水。そんな風景に導かれるように、心地よく歩いて巡ることができるコンパクトさも魅力です。近年では、現代アートをはじめとする新たな感性も加わり、クリエイティブな磁場が生まれています。

2026年6月にオープンした「Pasand by ne Quittez pas 金沢店」より、私たちが普段お世話になっているお店やお気に入りの場所、街歩きのヒントをご紹介します。

香林坊エリア|アート、建築、哲学‥歩いて巡る、カルチャースポット

金沢城や兼六園といった名所をはじめ、美術館や博物館など、文化拠点が集まる香林坊エリア。伝統工芸から現代アート、建築、東洋哲学まで、幅広いカルチャーを歩いて巡ることができます。散策路「美術の小径」や緑地、風わたる犀川など、目的地へ向かう街歩きもまた豊かな時間です。


伝統の街にモダンな感性を呼び込む、現代アートの美術館

まちなかに突如として現れる円形ガラス張りの建築。「金沢21世紀美術館」は世界的な建築ユニット妹島和世+西沢立衛/SANAAが設計を手がけ、「公園のような美術館」として人々が気軽に立ち寄り、最先端の現代アートに触れることができる場です。

マイケル・リン(Michael Lin)《市民ギャラリー 2004.10.09-2005.03.21》2004年


市民ギャラリーの壁面を彩るのは、台湾の伝統的なテキスタイルを公共空間に拡大して描くアーティスト、マイケル・リンの作品。金沢の伝統工芸・加賀友禅の現場をリサーチして描かれた作品は、伝統とモダンな感性が溶け合う街を象徴するよう。


塩田千春 《記憶の部屋》2009年/「コレクション展 歩く、とどまる」2026年5月23日(土)〜10月18日(日)


人の記憶を宿すものをモチーフとしてきた塩田千春さんが、活動拠点を置くベルリンの街に焦点を当てた《記憶の部屋》。用いられているのは、かつてベルリンの壁周辺の建物で使われていた「窓」。長年解体現場に通い、自身で蒐集してきたものだそう。生活の痕跡を宿す窓でかたちづくられた構造物の中を歩きながら、今なお残る見えない「境界」に思いを馳せます。


パトリック・ブラン 《緑の橋》2004年


生命力あふれる植物が、ガラスの廊下を覆うように配置された、パトリック・ブランの《緑の橋》。春にはウツギ、夏にはギボウシ、秋にはハギ、冬にはツワブキなど、約100種類の植物が植栽され、季節ごとに多様な表情を見せてくれます。「限定的な環境のもとでも植物は順応していく」という、植物学者ブランの理論を体現するような作品です。

【金沢21世紀美術館】
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
HP:https://www.kanazawa21.jp/



心静かに、思索するひととき

金沢が生んだ世界的な仏教哲学者・鈴木大拙。禅をはじめとする東洋思想を欧米に広く伝えた足跡と精神をたどる「鈴木大拙館」は、建築家・谷口吉生氏の設計。空間を通して大拙の哲学を体感できるようつくられており、訪れる人自身に静かな思索を促します。浅く水をたたえた「水鏡の庭」に浮かぶように佇む「思索空間棟」では、水面の揺らぎを眺めながら心静かなひとときを。

【鈴木大拙館】
住所:石川県金沢市本多町3丁目4番20号
HP:https://www.kanazawa-museum.jp/daisetz/



“谷口建築”の美意識に触れる

金沢市出身で、日本の近代建築を牽引した谷口吉郎氏と、息子で世界的建築家の谷口吉生氏。金沢の街を歩くと、そこかしこで二人が手がけた建築に出会うことができ、その佇まいが街並みに品格を与えています。吉郎氏の住居跡にて、吉生氏が設計した「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」ではその美意識に触れられ、水庭に面した広縁からは、ゆかり深い金沢の街を一望できます。

【谷口吉郎・吉生 記念金沢建築館】
住所:石川県金沢市寺町5丁目1-18
HP:https://www.kanazawa-museum.jp/architecture/


高岡町エリア|個性豊かな商いが、暮らしの気配と溶け合う

ステンドグラスが美しい尾山神社の神門から、参道をまっすぐに歩いた先に広がる高岡町。2026年6月、「Pasand by ne Quittez pas 金沢店」が新たに暖簾をあげた町です。住宅街の中にも個性あるお店が点在し、目の届く範囲の誠実な商いが、暮らしに溶け合っています。店主との会話からつながりをたどれば、ローカルな金沢の表情にも出会えるはず。



豊かな時間に寄り添うナチュラルワイン

「突き動かされるような、生命力にあふれた味わい」に衝撃を受け、ナチュラルワイン専門店を開いた店主の荒木佐保里さん。ソムリエである荒木さんが国内外からセレクトするワインは、栽培から醸造まで手仕事で行われているような小規模ワイナリーが中心です。店名の「Brücke(ブリュッケ)」はドイツ語で「橋」の意。どんなシーンで飲みたいかを伝えると、その時間に寄り添う一本を、つくり手の物語とともに紹介していただけます。

【Wineshop Brücke】
住所:石川県金沢市高岡町18-2
Instagram:https://www.instagram.com/wineshop_bruecke/



“街に住む人々”のための、スペシャルティコーヒー

焙煎から抽出までを一貫して手がける、スペシャルティコーヒーショップ「townsfolk coffee」。私たちのお店から五軒お隣の“ご近所さん”です。大きな窓からは、公園の緑や街ゆく人々を眺めることができ、地元の常連客やコーヒー愛好家が集います。デンマークのロースターで修行を積んだ店主の鈴木さんは、北欧の焙煎アプローチを踏襲。素材本来のフルーティーな風味を引き出した、浅煎りのシングルオリジンを楽しめます。

【townsfolk coffee】
住所:石川県金沢市高岡町22-18
Instagram:https://www.instagram.com/townsfolkcoffee/



さりげないキュレーションが心地よいワインバー

元美容院のレトロな佇まいをそのままに生かした「伊東商店」では、ナチュラルワインとコーヒー、そして音楽が楽しめます。午後2時から10時までの営業なので、カフェタイムや軽やかな昼飲み、ディナー後の一軒としても。窓辺席からは鞍月用水のせせらぎ、L字形のカウンターに座れば、店主・伊東慧人さんのウィットに富んだトークが。街について尋ねると、お客様に合わせてさりげなくキュレーションされた情報を教えてくださいます。

【伊東商店】
住所:石川県金沢市長町3-8-37
Instagram:https://www.instagram.com/110shoten/



ヴィレッジで出会う、ベイクショップのような悦び

2026年5月、大阪から金沢に移転オープンしたばかりの「PONY PONY HUNGRY」。フランス菓子、イギリス菓子、アメリカンスイーツといった世界各国のお菓子を学んだ店主の浮田彩子さんが「自分の好きなお菓子だけを並べた」というショーケースには、スモアやキャロットケーキ、季節のタルトなどがずらり。海外のヴィレッジで見つけるベイクショップのような温かい雰囲気の中で、嬉しい目移りを。ドリンクと一緒にイートインも可能です。

【PONY PONY HUNGRY】
住所:石川県金沢市芳斉2-10-5
Instagram:https://www.instagram.com/pony_pony_hungry/


東山エリア|茶屋街に息づく美と、真摯な手仕事に触れる

穏やかに煌めく浅野川を眺めながら、梅ノ橋を渡って東山エリアへ。金沢三茶屋街のひとつである「ひがし茶屋街」を擁する人気観光地でありながら、一本路地裏へ入ると、昔ながらの商店や、職人の工房、折り目正しい暮らしが静かに息づいています。どこを切り取っても画になる街並みに、人々の美意識を感じます。



縄暖簾をくぐって買い求める、伝統の杉桶味噌

「暮らしの中に作業場があるので、生活音や、笑ったり怒ったりする家族の声までもが、うちの味を育てる大事な要素なんです」。そう笑うのは「高木糀商店」の若女将・高木真利子さん。天保年間に糀専門店として創業。先代から始めた味噌は、杉桶を用いて昔ながらの手作業で仕込まれています。自家製の塩麹や甘酒、冬季限定の伝統発酵食「かぶら寿し」などもおすすめです。

【高木糀商店】
住所:石川県金沢市東山1丁目9-3
HP:https://www.takagikouji.com/



“手のあと”が感じられる、暮らしの品々

観光客でにぎわう茶屋街の大通りから、路地裏へ抜けた先の町家にそっと立つ「shio」の看板。東京から金沢に移住した店主・大野詩桜さんが2025年にオープンしたお店です。自身で工房を訪ね歩いて選ぶ作家の器から、アフリカの古物、民藝的な生活道具まで「どこかつくり手の“手のあと”が感じられるようなもの」が独自の審美眼でセレクトされています。

【shio】
住所:石川県金沢市観音町2丁目4-12
Instagram:https://www.instagram.com/shio_jp_/



ハンマーワークに、機能美が宿るカトラリー

金工作家・竹俣勇壱さんが営む「sayuu(サユウ)」。元お茶屋の町家を改修した工房を併設した空間に、カトラリーを中心とした金工作品が並びます。ハンマーワークが美しい揺らぎを生むステンレス製のカトラリーシリーズは、軽く、洗いやすくて使い勝手も抜群。車で10分ほどの新竪町商店街には、姉妹店の「KiKU」も。

【sayuu】
住所:石川県金沢市東山1-8-18
Instagram:https://www.instagram.com/sayuu_kanazawa/


ちょっと足を伸ばして。自然豊かな白山市の酒蔵へ

コンパクトに整ったまちなかも良いですが、金沢は海や山にも近く、中心市街地から車で30分ほど走れば、豊かな自然にも出会うことができます。今回はちょっと足を伸ばして、手取峡谷などでも知られる白山市へ。Pasandオーナー夫妻の自邸に常備されている日本酒をつくる、明治3年創業の吉田酒造店を訪ねました。


「食事に寄り添い、人の輪を和ませるようなお酒でありたい」と語るのは、7代目蔵元・吉田泰之さんの奥様である麻莉絵さん。霊峰白山の清らかな伏流水と、能登杜氏の技から生まれる銘酒「手取川」は、フレッシュで透き通るような味わいです。山廃仕込みの技術を現代的に進化させたブランド「吉田蔵u」や、持続可能な酒造りへの取り組みなど、伝統を受け継ぎながら次代を見据えた姿勢にも共感します。

【吉田酒造店】
住所:石川県白山市安吉町41
HP:https://tedorigawa.com/
※酒蔵見学は通常行っていません。



美食の街、金沢。今回ご紹介したお店以外にも、魅力的な食の店が数多くあります。Pasandがおすすめする金沢の食アドレスをご紹介します。 なお、金沢には現金払いのみのお店も多いため、ご旅行の際は現金のご用意をお忘れなく。人気店は早めの予約がおすすめです。


寿司

鮨治 石川県金沢市西町4番丁9


和食・割烹・居酒屋

いなさ 石川県金沢市笠市町6-2 中田ビル
旬房さかい 石川県金沢市木倉町6-8


焼鳥

炭焼333(SASAMI 333) 石川県金沢市堀川町9-1





Photo: Masato Oyachi(Wineshop Brücke/高木糀商店/shio/吉田酒造店)
Text: Wakana Yanagida