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カート

カートが空です

Updated: 2026.03.27

Pasand Travel|Mumbai

インドの中でも特異な体温を持つ都市、ムンバイ。アンティークとアート、布と食、労働と祈り——相反するものが同じ路地に息づき、歩くたびに新しい顔が現れます。Pasandが実際に訪れた場所を、エリアごとにご案内。次の旅では、ぜひこのリストを手に、自分だけの歩き方を見つけてみてください。

- Colaba コラバ

インディアンゲートの近く、観光客の波から少し離れてコラバの路地を歩いていると、突然時間の感覚が変わる瞬間があります。海風に混じるスパイスの匂い、クラクションと祈りの声。アールデコの建築が並ぶ通りには、100年以上続くアンティーク商と、オープンしたばかりのギャラリーが同居しています。コラバでは、五感を総動員して歩いてみましょう。

- [SHOP] Phillips Antiques

1860年創業、4代にわたって同じ場所に店を構え続けるアンティークショップです。南インドの寺院装飾やタンジョール絵画をはじめ、インド各地の民俗・トライバルアートを幅広く取り揃えた店内。植民地時代の家具、古地図、版画まで、一点一点が丁寧に選び抜かれています。「自分の家に飾れるものだけを扱う」というオーナーの姿勢が、空間全体に静かな誠実さをもたらしている店です。

Pasand Travel Tips
ピエール・ジャンヌレのデザインを忠実に再現したリプロダクション家具の取り扱いも。デザインやインテリア好きなら見逃せません。

- [SHOP] The Gem Palace

1852年にジャイプールで創業した宝飾の名家のムンバイ店。ダンラジ・マハルのアールデコ建築の一角に、深緑のオーニングが控えめに掲げられています。鮮やかなサーモンピンクとグリーンの空間には、ムガル王朝の時代から受け継がれてきた技法による宝飾品が。インド工芸の奥行きを感じる場所です。

- [SHOP] Le Mill

「Eyes in Paris, Heart in Mumbai」がコンセプトの、フランスを拠点にしていた2人の女性が立ち上げた、インド初のマルチブランド・ラグジュアリーコンセプトストアです。コラバの歴史的建築の1階、4,000平方フィートの空間に、国際ブランドとインドの現代デザイナーが並びます。

- [ART] Aequo Gallery

2022年にオープンした、インド初のコレクタブル・デザインギャラリー。タージ・マハル・ホテルの裏手の歴史的建築の中に広がるのは、高い天井と大きな窓を持つ静謐な空間。素材と作り手と使い手が等しく対話するという思想が、空間全体に宿っています。

- [SIGHTS] Taj Mahal Palace Hotel

1903年開業、ムンバイの歴史そのものといえる存在。泊まらなくても、ロビーやティールームへ立ち寄るだけで、この街の時間の層を感じることができます。


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併設のSOUKからはゲートウェイ・オブ・インディアも眺められます。
1Fのプールサイドカフェでのティータイムもおすすめ。
宿泊するならタワー棟がお得で、SOUKでの朝食も利用可能。

- [SHOP] Raw Mango

デザイナー、Sanjay Gargが手がける手織りテキスタイルのブランド。コラバのタージ・マハル・ホテルの向かい、海風が通り抜ける築100年の建物の中に店を構えています。伝統とミニマリズムが静かに交差する、ラジャスタン、ヴァーラーナシー、西ベンガルの織り手たちが生み出すサリーやウェア。Pasandが深く共鳴するものづくりの哲学があります。

- [ART] Jhaveri Contemporary

姉妹が2010年に設立した、南アジアのアートを世界に繋ぐギャラリー。歴史的建築の3階に位置し、バルコニーからはインド門が見渡せます。訪問時はLUBNA CHOWDHARYの作品を展示。世代や国籍を超えたアーティストを紹介し続ける、ムンバイのアートシーンの核となる場所です。

- [FOOD] The Table

地元のクリエイターや文化人が集まることでも知られるコラバのレストラン。アリバーグの自社農場から届く食材を軸にした、ファーム・トゥ・テーブルの哲学が料理の随所ににじみます。


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ムンバイのレストランは予約がマスト。インドでは「ZOMATO」アプリが主流で、予約のほかテイクアウトやデリバリーにも使えます。

- Kala Ghoda〜Fort カーラー・ゴーダ〜フォート

コラバから北へ歩くこと10分。カーラー・ゴーダ——ヒンディー語で「黒い馬」を意味するこのエリアは、ムンバイのクリエイティブシーンの心臓部です。かつての植民地時代の建築群に、ギャラリーやカフェ、デザイナーズショップが入り、週末にはアートフェスティバルで通りが彩られます。その先に広がるフォート地区は、英国統治時代の面影を残す壮大な建築と、ムンバイ最古のマーケットが共存する場所。アートと紅茶とスパイスの香りが交差する、このエリアならではの時間があります。

- [FOOD] Kala Ghoda Café(ランチ)

アート地区・カーラー・ゴーダに佇む、地元に愛されるカフェ。ムンバイのクリエイティブな空気を最も素直に感じられる場所のひとつ。サンドイッチなどが楽しめるカフェの奥には、インド産ワインやクラフトビール、カクテルなどが楽しめるワインバーが。週末にはDJによる音楽も一緒に楽しめます。

- [SHOP] OGAAN

1989年にデリーで誕生した、インドを代表するマルチデザイナーショップ。péro、ekà、Bodiceなど、インドの現代ファッションシーンを牽引するブランドを、陽光溢れる2フロアにわたって展開しています。Pasandと共鳴するインドのものづくりの今を知るなら、まずここへ。

- [SIGHTS] CST駅

チャトラパティ・シヴァージー・マハラジ・ターミナス。ヴィクトリア朝ゴシックとインド建築様式が融合した駅舎は、1887年竣工のUNESCO世界遺産。毎日数百万人が行き交うこの場所で、ムンバイの時間の密度を実感します。

- Churchgate〜Mahalaxmi 下町エリア

観光ガイドの表紙にはならないかもしれない。けれど、ムンバイという都市の体温を最も直に感じられるのが、この下町エリアです。チャーチゲート駅では毎日20万個の弁当が行き交い、マハラクシミーのドビー・ガートでは数百人の手が布を洗い続ける。人の暮らしの根幹が、ここではむき出しのまま動いています。

- [SIGHTS] Churchgate駅 ダッバーワーラー

ダッバーワーラーとは、家庭の弁当を職場まで届けるムンバイ名物の弁当配達人のこと。毎日およそ20万個の弁当が、独自の記号システムによって市内中のオフィスへ届けられ、配達の誤りはほぼゼロとされています。午前11時頃から駅のホームが弁当箱で埋め尽くされていく光景は、この都市の組織力と人間力を肌で感じられる瞬間です。


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到着ピークは11:30頃。11:00に着いて待つのがベストです。 ダッバーワーラーの物語を描いた映画『めぐり逢わせのお弁当(The Lunchbox)』を観てから訪れると、旅の楽しみがぐっと深まります。

- [SIGHTS] Dhobi Ghat

世界最大の屋外洗濯場として知られるマハラクシュミ・ドビー・ガート。約700の洗い場で、ホテルや病院から届く衣類が毎日何千枚と手洗いされています。衣服の一枚一枚には識別コードが書かれ、持ち主のもとへ確実に返されているのだそう。衣服と人の関係を問い直す、Pasandにとって示唆深い場所でもあります。


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マハラクシュミ駅の陸橋からは、ドビー・ガート全体を見渡すことができ、多くの観光客で賑わっています。

- [FOOD] Bombay Canteen

カマラ・ミルズの倉庫を改装した空間で、インド各地の郷土料理を現代的な感覚で再解釈した絶品メニューがいただけるレストラン。地産地消と季節の食材への敬意が、料理の随所ににじんでいます。


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ランチは予約がマスト。予約にはZOMATOアプリが便利。

- Lower Parel & Bandra ローワー・パレル&バンドラ

南ムンバイの中心部から少し足を伸ばして。ローワー・パレルは、かつてムンバイの繊維産業を支えた工場群が新しいクリエイティブ拠点に生まれ変わったエリア。紡績機の音が消えた倉庫に、いまはライフスタイルブランドが入っています。そして、海沿いをさらに北へ向かえばバンドラ。ボリウッドスターの邸宅が並ぶ通りに、インディペンデントなカフェやレストランが次々と生まれる、ムンバイの「いま」が最もヴィヴィッドに動く街。工場の記憶と新しいデザイン、そして夜のビストロ——南ムンバイとはまた違ったリズムを楽しんで。

- [SHOP] Good Earth(旗艦店)

かつての繊維工場の跡地、ラグヴァンシー・ミルズに構える旗艦店。インドの伝統工芸を現代的な美学でアップデートするライフスタイルブランドで、家具、リネン、食器、アパレルが揃います。1階にはカフェ「The Tasting Room」も。工場の記憶が宿るこの場所に、新しいインドのものづくりが根を張っているようです。


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併設のカフェ「The Tasting Room」は現在休業中。ラグヴァンシー・ミルズのヤード内には他にもインテリアショップが点在しているので、時間に余裕があれば周辺を散策してみて。

- [FOOD] Kaspers(ディナー)

The Tableを手がけるGauri DevidayalとJay Yousufが2025年にオープンしたビストロ。アメリカ人シェフWill Aghajanian自身がデザインした空間は、モザイクの床にマルーンのソファ、亜鉛のバーカウンターが並びます。フランスのビストロ、スペインのピンチョスバー、イタリアのオステリアへの愛情が、一皿一皿に凝縮されているのを感じられるでしょう。


Pasand Travel Tips
予約はZOMATOアプリから。バンドラは南ムンバイから車で30〜40分ほどかかるので、ディナーに合わせて余裕をもって移動を。

・レストランは予約がマスト。インドではZOMATOアプリが主流。予約のほか、テイクアウトやデリバリーにも使えます。

・ムンバイの食シーンを語るなら、Gauri DevidayalとJay Yousuf夫妻の名前は覚えておきたい。Pasand Magazineで紹介するThe Table(コラバ)、Otra(カーラー・ゴーダ)、Kaspers(バンドラ)はすべて彼らの店。KaspersのシェフWill Aghajanianは、NYのPer Seやサンセバスチャンのムガリッツなど世界の名店で研鑽を積んだアメリカ人シェフ。迷ったら、まずこの夫妻のレストランをチェックしてみて。

・移動はUBERが便利。荷物が多ければ6シーターも選択可能。

・タージ・マハル・パレス・ホテルに泊まるなら、タワー棟がお得。SOUKで朝食がとれるほか、プールサイドカフェでのティータイムも楽しめ、ゲートウェイ・オブ・インディアも見渡せます。



Photography / Akemi Kurosaka
Text / Rio Hirai