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Silent landscape reading
Photographer・黒坂明美さんの目に映るニューデリー

Pasand Magazineで数多く撮影を担い、インド渡航にも同行するフォトグラファー・黒坂明美さん。彼女の眼差しを通してニューデリーに分け入り、日常の情景を追いかけます。


ニューデリーに降り立つと、喧騒、霞といったステレオタイプな印象が一気に降ってくるように感じられる。けれど数日を過ごしたのちに、心を落ち着けていったん耳を閉じる。すると街並みのわずかな隙間に、静かな風景が見えてきます。


高く登れば、一気に見下ろせる風景がある。放念できる、地上との距離。

路地裏のクリーニング店。真っ白いシーツばかり洗い続け、路地に延々と干していく。美しい白の連鎖。

早朝の、まだ空気が動ききらないうちに景色の広い場所へ出る。インド門。温かく、たおやかな気配が出迎えてくれる。

インドではかたちのリフレインが印象的にこだまする。終わりのない連続を受け入れる文化。

至るところに、樹木が伸びる。ブーゲンビリアのピンク、根っこ、絡み合う存在。

「働く手の美しさに、いくつも出会う」

インドには、間がある。放っておける部分。誰も触らなくていい部分。

変哲のない道路に、白牛が一頭。なぜかという脈絡を寄せ付けない、当然という態度。

ただ生きる。自分を取り巻くものと共に。

人と関わる、という距離が、とても近いように感じる。

子どもたちは笑うか、あるいは全く笑わず真っ直ぐに見つめる。目が大きいのでその行為がとてもはっきりと伝わる。

常に祈りがそばにある。どこにいても忘れずにいる。息をするように祈りを。



Photography:Akemi Kurosaka
Text:Yuko Mori

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